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実績紹介

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【プロジェクト】ベトナム国 中部地域災害に強い社会づくりプロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト


ベトナム国の水関連災害軽減へ向けて

ベトナム国中部地域は、台風を含む熱帯低気圧および季節風の影響で豪雨が多発する地域です。また、国境沿いの山脈が海岸と近接しており、降雨が河川に流出するまでの時間が短いことから、洪水被害が多発しています。さらに、気候変動の影響によると考えられる台風、熱帯低気圧の勢力増加、多発に伴う洪水被害の増加の傾向が見られ、今後ますます水関連災害による被害が深刻化する恐れがあります。
かかる状況に鑑み、ベトナム国政府は我が国政府に対し、ベトナム国中部地域における風水害、土砂災害のリスクを軽減するため、技術協力プロジェクトを要請してきました。その後、日本政府は『ベトナム国中部災害に強い社会づくりプロジェクト(2009~2012年)』を開始し、弊社はこれを受託して実施しました。主たる目的は、中部地域に広く適応可能なコミュニティを中心としつつ、地方・中央政府や研究機関が適切に支援しながら地域社会の災害対応力を高めていく仕組みづくりです。
弊社からは、『地域防災計画』、『予警報避難』、『コミュニティ防災』、『水文土砂災害』の各専門家が派遣されています。


地方政府の防災能力向上へ

コミュニティの防災能力強化を最大化するためには、コミュニティだけでなく、それを支える中央政府、地方政府の強力なサポート、すなわち公助・共助・自助の強固な連携が不可欠です。

本プロジェクトでは、現地ニーズを最大限考慮した防災能力強化、およびトップダウンとボトムアップの両面からのアプローチによる効率的・効果的な支援を念頭におき、政府機関の防災組織能力強化が行われました。具体的な活動は防災に関する一般的な内容から、河岸浸食対策工事、コミュニティ防災マネージメント、洪水ハザードマップなどの専門分野の技術移転を目的としたワークショップ、少人数で共同作業を通して行われる技術移転が行われました。


統合洪水管理計画の策定

気候変動により、今後風水害被害が拡大すると予想されます。このことから、ベトナム国中部フエ省、クアンナム省において気候変動を考慮した統合洪水管理計画を策定しました。

特にフエ省では、統合洪水管理計画を策定する上で、日本人専門家チームと各関係省庁代表者からなる策定チームが設立され、気候変動を考慮した氾濫シミュレーションを基に将来の都市計画や土地利用計画等の開発計画のレビュー、計画策定を行う上での問題点を整理しました。
この成果はフエ省「フォン川流域統合洪水管理計画 2020年(IFMP)」として省人民委員会(PPC) の正式な承認を受けました。


コミュニティ防災に関する能力向上

コミュニティレベルでの防災活動は洪水による被害を軽減する大きな要素であると考えられています。本プロジェクトでは毎年洪水に見舞われるパイロット地域を選定して、コミュニティレベルでの住民や洪水防災対策チームを対象にコミュニティ防災活動の能力強化を行いました。

主な活動として、洪水時の警報・避難計画の策定、コミュニティーベースでの洪水対策委員会の組織づくり支援をしてきました。また、住民参加型の避難訓練を行い、住民によるより実践的な防災活動が行われました。この活動の成果として、今後もこの活動が他地域で実施できるようコミュニティ防災実施機関に関係した組織のためのコミュニティ推進マニュアルが作られました。


コミュニティにおける河岸浸食対策の提案、実施

中部地域に位置するトゥ・ボン川では河岸浸食が激しく、集落、農地、コミュニティ道路、その他のインフラ施設が被害を受けています。また、気候変動の影響で河川流量と流速が増大し、今後益々被害規模が大きくなると予想されます。

本プロジェクトでは、コミュニティの規模・能力に応じた参加、自助努力(補助的な労務提供)による小規模・低コスト工法の河岸浸食対策工を施工しました。また、コミュニティの参加による経験、知見、教訓を踏まえ、他地域への普及を促進するため、施工マニュアルとしてのとりまとめを指導していきました。



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