モロッコの水物語 (その実態に迫る) |
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元JICA専門家 上村三郎 (技術士) | ||||||
6-3.山岳地域における水運搬料 アガディールに開設した水支援センターの主要な活動に地方電化で使用しなくなった発電機やソーラーシステムを未電化地域の村落に移設する作業がある。この作業は非常に困難を極め、村落側と直接交渉してもなかなか回収に理解を示す村落は非常に少ない。そのために各県知事に対して、状況を説明し、迅速な対応を求めてきた。各県知事は前向きな発言をしてくれたものの、逆に協議のテーマを旱魃対策への協力を要請された。これはアガディール地方において2007年の降水量が極端に少ないために、実績のある日本に対して、給水車の調達を大使館に要請したのであった。そして、この要請内容を確認するために2007年6月末に現地調査を行った。その結果、山岳部の村落住民は異常に高額な飲料水を購入していることが判明した。 都市部と村落部の飲料水の価格に このような飲料水確保に関する地域格差がモロッコ南部では未だに数多く存在しており、その早急な是正が求められている。 図-16.Chitouka Ait Baha県における給水車のサービス料 一方で、給水車で飲料水を確保する必要性のある村落は多くの場合が幹線道路から外れた未舗装の道路しかない。これらの道路は急な坂道やカーブ及び凹凸が激しく、僅かな距離でも長時間を要する。特に、飲料水を満タンにした給水車の走行速度は20Km/時以下となり、1日に活動する水運搬の大きな制約となっている。 図‐17にはChitouka Ait Baha県で給水車のサービスを受けている517村落の水源からの運搬距離を示している。最も高い頻度を示したのは10〜20Kmの村落であり、ほぼ200箇所存在している。次は20〜30Km圏内の村落であり、これは120村落に近い。場所にもよるが、30Km圏内の村落では最大1日2回のサービスが限界であり、これらの村落では給水車からのサービスの順番をめぐり度々住民同志の水争いが生じるそうである。 一方で、データには水源から50Km以上も離れている村落が34村落も存在している。中には90Kmの村落が3箇所あり、これらの村落への給水サービスは長時間かかり、その結果、高額な水を購入することになる。
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