地球システム科学

【プロジェクト】タンザニア国村落給水事業実施・運営維持管理能力強化プロジェクト・フェーズ2

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

タンザニア国の村落給水・衛生事情

 アフリカの東海岸に位置するタンザニア国には4,000万人を超える人々が暮らしており、そのうちの8割以上が村落部で生活しています。人口は毎年増加傾向にあるにも関わらず、安全な水の供給率(2010年)は国全体で54%、村落部で44%という状況にあり、改善された衛生施設へのアクセス率(2010年)に関しては、国全体で10%、村落部で7%という極めて深刻な状態にあります(Progress on Drinking Water and Sanitation: 2012 Update, UNICEF and WHO 2012)。

 そのような状況において、タンザニア政府は第2次国家水政策(2002年)にもとづいた、セクターワイドアプローチによる水セクター開発プログラムを2007年より開始し、その中の地方給水・衛生プログラムによって、村落部の給水・衛生施設の建設などを実施中です。しかし、プログラムの進捗は大幅に遅れており、施設建設数の減少や完了時期の延長など、計画の大幅な見直しが必要になりました。その大きな理由として、1998年から始まった地方分権化の急激な流れに地方自治体の能力開発が追い付かず、県の技術担当者などが地方給水・衛生プログラムを適切に管理できていないことが指摘されています。政府が作成したタンザニア開発部ビジョンでは2025年のゴールまでに、村落部における90%の安全な水供給と75%の衛生施設整備を目標に掲げていますが、その目標達成が危ぶまれている状態です。


タンザニア国の自立を目標にした国際協力

 こうした背景のもと、タンザニア政府は日本に対して能力開発のための技術協力を要請し、日本はそれを受けて「村落給水事業実施・運営維持管理能力強化計画」プロジェクト(RUWASA-CADフェーズ1)を、弊社の受託により2008年から2010年にかけての3年間で実施しました。フェーズ1ではタンザニア東部の3州をパイロット地域として能力開発事業を実施しましたが、その成果を全国に展開するために、タンザニア国から日本に対して再度の要請があり、「村落給水事業実施・運営維持管理能力強化プロジェクト(RUWASA-CAD)フェーズ2」が弊社の受託により2011年8月から2014年7月までの3年間の予定で実施されています。なお、プロジェクト英文名称の「Rural Water Supply and Sanitation Capacity Development」の頭文字などをとって、「RUWASA-CAD」という呼称が現地では定着しています。

 タンザニアの水セクター開発プログラムは、主にバスケット・ファンドによる資金をもとに実施されていますが、RUWASA-CADプロジェクトではタンザニアの能力開発支援を行うことで、給水・衛生施設建設などのプロジェクト運営の円滑を支援することを基本理念としています。プロジェクトの関係者はカウンターパートとなる相手国政府職員だけでなく、地方自治体やコミュニティ関係者、他国の開発パートナー、NGOなどとも協調しながら、現地活動を実施しています。

 フェーズ1では、地方給水・衛生プログラムの流れに対応させた「研修パッケージ」が開発・実践され、その成果が全国で利用してもらえるような取り組みを、フェーズ2で行っています。タンザニア国の政府や地方自治体が、自発的に能力開発事業を実施できるようになることが、プロジェクトの最終的な目標です。


地域特性を考慮したコミュニティ支援体制強化をめざして

 タンザニアの地質環境は、40億年以上も前に形成された古い岩石や、ごく最近堆積した新しい地層など、多種多様な条件を備えています。タンザニアの主な飲料水水源は地下水であるため、地下水資源開発の基礎となる地質環境は、給水・衛生プログラムを計画する際に極めて重要な情報になります。また、地域ごとの社会経済条件(集落構成、人口密度など)も、考慮すべき重要な要素です。RUWASA-CAD「研修パッケージ」には、これらの地域の自然・社会条件を反映した内容を盛り込み、必要な更新作業を行っています。

 さらに、プロジェクトでは、室内での研修だけでなく、現地での実地研修も行うことで、コミュニティでの水利用者との直接の交流に重視した活動も行っています。コミュニティによっては、1時間以上も水汲みのために歩かなくてはならなかったり、乾季に井戸水が枯れてしまったりする場所もあります。地方自治体が現地の実態を正確に認識し、適切な水資源評価を行うことと、施設建設後の住民による運営維持管理を支援していくことが必要です。一日でも早く住民が安全な水を得られることを願って、多くの関係者との交流を大切にしながら、プロジェクト活動を行っていきたいと思います。