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実績紹介

【プロジェクト】ボリビア国道路防災および橋梁維持管理CDプロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト


ボリビア国の道路防災・橋梁維持管理能力向上を目指して

ボリビア国の主要な国道は、3000m~4000m級のアンデス山脈を通過しており、毎年雨期には道路斜面災害や橋梁の損傷被害が繰り返し発生しています。この技術協力プロジェクトは、これらの自然災害に事前に対応できる『予防防災能力』の強化を中心に、国道を管轄するボリビア国道路管理局の能力向上を図ることを目的に実施しています。

弊社はこれを受託して、『総括/組織強化』、『地質(地すべり)』、『地質(砂防/流域管理)』、『道路設計』、『道路防災データベース/情報通信』の専門家を派遣しています。


ボリビアの道路災害の特徴

山岳国家であるボリビアは、気象や地形などの自然条件が厳しく、11月から3月までの雨期には、アンデス山岳地帯の道路斜面で大規模な土砂崩れ、落石、地すべり、土石流などが発生します。ボリビアでの道路災害の特徴は、災害の規模が大きいこと、繰り返し起こることです。規模が大きいことは、断層や破砕帯が数多く存在することに起因します。繰り返し発生することは、復旧対策が不十分であることに起因しています。

河川の増水や洪水による道路構造物の被害も大きな問題です。急峻な山岳道路にかけられた橋梁は、落石や地すべりによって損傷をうけやすく、河川を横断する橋梁では土石流や河床の洗掘による基礎部の流出や倒壊事故が多くなっています。アマゾン川上流の熱帯雨林低地帯では、毎年のように大規模な洪水が発生しており、道路面の浸食による流出や、盛土の浸食などが頻発し、社会問題となっています。


防災ユニットの設立

このプロジェクトでは、『災害が起こる前に未然に防ぐ』という<予防防災>という考え方を、ボリビアにとって社会的にも経済的にも重要であることを関係者に十分に理解してもらい、これが国民の間で一般的な概念として定着することが最大の課題と考えられています。そのため、第一に『専門部署の設置とスタッフの配置』を優先事項として、ボリビア道路管理局(ABC)本部に防災対策室(UPD)設立し『道路』『橋梁』『地質』『水文』の4名のスタッフを配置され、カウンターパートとして活躍しています。
また、UPDのビジョン、ミッションを明確にするとともに、ABC内でこの組織が円滑に活動できるようにUPD活動方針の総裁認定を行っています。


室内研修,現場におけるOJTで実施する技術移転

技術移転は様々な方法、視点から実施されています。室内研修では、道路防災部門では、災害のタイプの分類、地質調査、データ解析、砂防、地すべり、道路設計などを、橋梁部門では、橋梁点検、橋梁維持管理システム、橋梁設計など、様々な項目について講義や教材を用いた実践トレーニングを行っています。

実際にABCが実施する道路防災工事と橋梁補修工事に対して、専門家チームから適切な工法の提案や指導を行い、カウンターパートに技術移転を行いながら協議します。そして、実際の工事現場において、OJT(On the Job Training)を実施しています。


10種のマニュアル・ガイド

プロジェクトの技術移転活動を通じて、各部門でマニュアル・ガイド類を作成しています。①斜面災害調査・観測ガイド、②道路斜面点検ガイド、③道路災害記録ガイド、④道路防災対策工事設計、⑤雨量観測ガイド、⑥道路防災データベース運用ガイド、⑦道路防災管理マニュアル、⑧橋梁点検ガイド、⑨橋梁補修・補強ガイド、⑩橋梁日常点検ガイドを、専門家とUPDが協議を重ね、よりボリビアに適合したものに仕上げられています。


防災情報の収集、管理と発信

予防防災にとって重要な項目には、情報の収集、管理、発信能力があります。このプロジェクトでは雨量観測ネットワークの構築とその維持管理、データの加工を訓練し、道路災害記録や道路斜面点検記録、通常情報にリンクした雨量水文情報を管理するデータベースモジュールの開発を支援しています。

デジタル自記雨量計は、全国に19か所設置して観測データをUPDに集積することを目指している。この雨量データは時間雨量を記録することができるため、より正確で幅広く解析に利用することができます。そして、取りまとめられたデータは、一括してデータベースで管理されます。道路災害記録と通行止め情報を合わせて雨量情報もユーザーが自由に閲覧することができるため、今後の道路防災・橋梁維持管理能力向上の重要なツールとなることが期待されています。


道路防災リーダーへの期待

アンデス山脈を有する南米諸国はボリビアを含めて7か国に及んでいます。これらの国々ではアンデス山脈を越える東西回廊の通行性の確保が経済発展の要となっています。このプロジェクト実施中にABCは約200万ドルの道路防災工事予算を確保し工事を開始しています。着実にオーナーシップは芽生えています。道路防災におけるアンデス諸国のリーダー的存在になることを大いに期待しています。

なお、本プロジェクトは2012年10月まで継続される予定です。





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