地球システム科学

【プロジェクト】ペルー北部地域給水・衛生事業強化プロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

農村部での安全な水へのアクセス率向上

 ペルー国では、安全な水にアクセスできる人口は、都市部では85.2%となっている一方、農村部では32%と低い状況にあります。これに対しペルー国政府は、給水及び衛生分野を貧困対策のための重要開発課題の一つと位置づけ、「Agua para Todos (万人に水を)」のキーワードのもと、国家衛生企画2006-2015を策定しました。この計画では2015年までに、安全な水や下水道施設へのアクセスできない住民の数を半数に減らすことを目標とています。給水・衛生施設の整備を優先的に実施しており、その要請に答える形で各国からの支援も実施されています。

 村落での給水・衛生施設の運営維持管理は、各村落の住民組織である水・衛生委員会(住民組織)が行っていますが、その事業実施状況を管理・指導を行う立場にある区役所の体制が脆弱であり、その役割を適切に果たしていないという現状があります。また、さらにその区役所や水・衛星委員会への指導を担う州政府の体制が脆弱であり、それら各行政レベルでの能力強化が急務となっています。

 本プロジェクトでは、特に給水率の低いランバイェケ州およびピウラ州を対象として、各行政レベルの給水・衛生事業実施能力向上を図ることを目的として、2009年~2013年の予定で技術支援を実施しています。弊社からは『給水計画/地下水開発』及び『浄水施設維持管理』を担当する3名の専門家を派遣しています。


施設整備能力強化

 我々のカウンターパート機関であるランバイェケ州、ピウラ州の建設住宅衛生局(DRVS)の主な役割として、給水・衛生施設整備建設、また、大規模な施設修繕が挙げられますが、現状では修繕が必要な箇所を把握する体制や能力及び事業実施能力が十分ではありません。

 そこで、本プロジェクトでは、州内の48村落の施設整備をパイロット事業と位置付けて、現地調査から問題点の把握、整備計画、設計図書作成、入札業務、現場管理等の施設建設の一連のプロセスに関する技術支援を行っています。また、施設整備工事は各州2村落で行われました。


運営維持管理能力強化

 国施設建設における支援のほか、本プロジェクトでは運営維持管理についても、パイロット事業を通じ、ハード面とソフト面の両面から能力強化を行っています。ここではOJTを通じて専門家がDRVSに技術移転し、DRVSが区役所を指導し、最終的には区役所が水・衛生委員会に指導できるようになるような段階的なステップでの活動を進めています。

 ハード面の運営維持管理では施設の日常点検方法、小規模な修繕方法(パイプの漏水修理・交換、バルブの交換方法等)の指導を、また、ソフト面の運営維持管理では、いわゆる運営に関する指導を行っています。ここでは適切な料金設定・徴収、定款の整備、財務管理等の指導を行っています。

 一方、ペルー農村部では、水道料金は固定制が一般的ですが、本プロジェクトでは、適正な料金設定と徴収を行うため、これを水道メーターによる従量制の料金設定とし徴収を行っています。パイロット村落10箇所すべての家庭に水道メーターを設置しました。村落の住民も固定制料金に不公平感を抱いていたのか、メーター設置については歓迎してもらいました。この活動を通じて、その経験をマニュアル化し、パイロット村落以外への波及効果が期待されます。


衛生啓発能力強化

 ランバイェケ、ピウラ両州の対象区役所及び水・衛生委員会の衛生啓発計画の策定・実施に関する能力強化をする目的として、衛生啓発パイロット事業を対象10村落で実施しています。

 研修では、安全な飲料水を確保するために住民に対する塩素消毒の重要性について理解を促進する、学校で子供たちに手を洗うことの重要性とその洗い方指導等、実践を含む活動等を行っています。簡易トイレまたはトイレが無く野外で用を済ませているという家庭も見られることから、そのトイレのメンテナンス方法、処理方法についても啓発を行っています。