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実績紹介

【プロジェクト】タンザニア国地下水開発セクター能力向上プロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト


タンザニアの水供給の現状

タンザニア政府は、「第2次成長と貧困削減のための国家戦略書」(MKUKUTA II :2010年~2014年)、およびMDGsにおける目標達成に向けて、「水セクター開発プログラム」(WSDP: Water Sector Development Programme)を策定し、2025年までに地方部で90%の給水率を達成することを目標としています。

タンザニアの給水施設の水源は主として地下水であり、井戸掘削により水源を開発しています。この計画においても、建設予定の地方給水施設のうち、91%は地下水を水源とすることを想定しており、年間約1,200本の井戸掘削が必要と想定されています。

しかしながら、現状では、井戸・ダム開発公社(DDCA:Drilling and Dam Construction Agency)、民間セクターともに掘削能力は低く、年間の井戸掘削数は約600本であると推定され、給水施設建設能力が需要を満たせない状態となっています。従って井戸掘削業界全体の能力向上が大きな課題として掲げられています。


本プロジェクトでの取り組み

本プロジェクトは、DDCAが機材および掘削技術の2つの面から民間掘削会社を支援する、官・民連携のPPP(Public Private Partnership)の導入となる新しい試みです。

本プロジェクトでの目標は以下の3点です。
1) DDCAに民間掘削会社への技術指導システムの確立。
2) DDCAの民間掘削会社への井戸掘削に関する技術指導能力の向上。
3) DDCAにおける民間掘削会社への機材貸出及び機材維持管理システムの確立。

上記の3つの成果を出し、民間井戸掘削会社の井戸掘削能力の向上を行い、水セクター開発プログラムの目標達成を目指します。

本プロジェクトは、2012年3月から2016年3月までの約4年間にわたり実施されます。弊社からは、『総括/地下水開発計画』、『副総括/井戸掘削』、『研修計画/民間育成』、『検層/井戸データベース』、『井戸・地下水資源管理』の分野において専門家が派遣され、DDCAの各カウンターパートと協同で作業を進めていきます。


井戸掘削セクターの現状を知る

2012年5月、民間セクターの能力アセスメント及びニーズの把握のため、ベースライン調査を開始しました。調査は、タンザニア水省に登録されている126社の民間掘削会社に対して、質問票を用いたインタビュー形式で行います。調査の内容は、水セクター開発プログラム下の業務への関心、貸出機材の利用経験、保有機材、スタッフの人数及び能力、会社の運営状況等です。調査は、2012年8月末に終了し、調査結果を基に、民間井戸掘削会社への具体的な機材貸出や技術指導システムの確立を行っていきます。
一方、民間セクターへのベースライン調査と並行して、地下水管理に関する現状調査を実施しました。調査の結果、井戸掘削に関して、設計上または施工上の不備が確認されました。加えて、井戸の管理状況も適切ではありません。そのような状況の井戸では、タンザニアの飲料水質基準を超える濁度や大腸菌等が検出される例もあり、周辺に影響を及ぼしていることが考えられます。また、井戸掘削会社は岩盤地域で掘削可能な掘削機材を十分に持っていないために、仕事が受注できないという問題を抱えています。


安全・安心な水供給のために

安全で安心できる飲料水の確保は、人々が安定した生活を送る上で必要不可欠です。しかしながら、タンザニアの井戸掘削に関する各技術(掘削方法、掘削工程管理、掘削機材の維持管理、井戸デザイン、井戸管理など)は未だ適切ではありません。また、計画性がないまま井戸が掘削されるという、地下水の乱開発が行われています。この現状は、近い将来、地下水汚染や枯渇、地盤沈下などの災害だけでなく、掘削現場での人的事故や掘削作業の非効率化を誘発する恐れがあります。
そのような弊害を防ぎ、効率的な井戸掘削を行う為には、適切な井戸掘削や井戸デザインに加え、掘削機材の維持管理や工程管理方法の向上が必要です。
本プロジェクトでは、実地訓練を交えながら適切な井戸掘削に関するDDCAの指導者を育成していきます。DDCAが民間掘削会社に対し、リソース及び技術能力の両面から支援の提供を行うことで、井戸掘削産業全体の能力を向上させ、より多くの人々が安全で安心できる地下水へのアクセスが可能となることを目指します。





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