地球システム科学

プロジェクト紹介

【プロジェクト】ベトナム国 中部地域災害に強い社会づくりプロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

ベトナム国の水関連災害軽減へ向けて

 ベトナム国中部地域は、台風を含む熱帯低気圧および季節風の影響で豪雨が多発する地域です。また、国境沿いの山脈が海岸と近接しており、降雨が河川に流出するまでの時間が短いことから、洪水被害が多発しています。さらに、気候変動の影響によると考えられる台風、熱帯低気圧の勢力増加、多発に伴う洪水被害の増加の傾向が見られ、今後ますます水関連災害による被害が深刻化する恐れがあります。
 かかる状況に鑑み、ベトナム国政府は我が国政府に対し、ベトナム国中部地域における風水害、土砂災害のリスクを軽減するため、技術協力プロジェクトを要請してきました。その後、日本政府は『ベトナム国中部災害に強い社会づくりプロジェクト(2009~2012年)』を開始し、弊社はこれを受託して実施しました。主たる目的は、中部地域に広く適応可能なコミュニティを中心としつつ、地方・中央政府や研究機関が適切に支援しながら地域社会の災害対応力を高めていく仕組みづくりです。
 弊社からは、『地域防災計画』、『予警報避難』、『コミュニティ防災』、『水文土砂災害』の各専門家が派遣されています。


地方政府の防災能力向上へ

 コミュニティの防災能力強化を最大化するためには、コミュニティだけでなく、それを支える中央政府、地方政府の強力なサポート、すなわち公助・共助・自助の強固な連携が不可欠です。

 本プロジェクトでは、現地ニーズを最大限考慮した防災能力強化、およびトップダウンとボトムアップの両面からのアプローチによる効率的・効果的な支援を念頭におき、政府機関の防災組織能力強化が行われました。具体的な活動は防災に関する一般的な内容から、河岸浸食対策工事、コミュニティ防災マネージメント、洪水ハザードマップなどの専門分野の技術移転を目的としたワークショップ、少人数で共同作業を通して行われる技術移転が行われました。


統合洪水管理計画の策定

 気候変動により、今後風水害被害が拡大すると予想されます。このことから、ベトナム国中部フエ省、クアンナム省において気候変動を考慮した統合洪水管理計画を策定しました。

 特にフエ省では、統合洪水管理計画を策定する上で、日本人専門家チームと各関係省庁代表者からなる策定チームが設立され、気候変動を考慮した氾濫シミュレーションを基に将来の都市計画や土地利用計画等の開発計画のレビュー、計画策定を行う上での問題点を整理しました。
 この成果はフエ省「フォン川流域統合洪水管理計画 2020年(IFMP)」として省人民委員会(PPC) の正式な承認を受けました。


コミュニティ防災に関する能力向上

 コミュニティレベルでの防災活動は洪水による被害を軽減する大きな要素であると考えられています。本プロジェクトでは毎年洪水に見舞われるパイロット地域を選定して、コミュニティレベルでの住民や洪水防災対策チームを対象にコミュニティ防災活動の能力強化を行いました。

 主な活動として、洪水時の警報・避難計画の策定、コミュニティーベースでの洪水対策委員会の組織づくり支援をしてきました。また、住民参加型の避難訓練を行い、住民によるより実践的な防災活動が行われました。この活動の成果として、今後もこの活動が他地域で実施できるようコミュニティ防災実施機関に関係した組織のためのコミュニティ推進マニュアルが作られました。


コミュニティにおける河岸浸食対策の提案、実施

 中部地域に位置するトゥ・ボン川では河岸浸食が激しく、集落、農地、コミュニティ道路、その他のインフラ施設が被害を受けています。また、気候変動の影響で河川流量と流速が増大し、今後益々被害規模が大きくなると予想されます。

 本プロジェクトでは、コミュニティの規模・能力に応じた参加、自助努力(補助的な労務提供)による小規模・低コスト工法の河岸浸食対策工を施工しました。また、コミュニティの参加による経験、知見、教訓を踏まえ、他地域への普及を促進するため、施工マニュアルとしてのとりまとめを指導していきました。



【プロジェクト】ボリビア国 国道7号線道路防災対策計画準備調査

JICA国際協力機構 無償資金協力プロジェクト

深刻な道路災害

 南米大陸の中央に位置するボリビア国は内陸国であり、主たる輸送手段は道路によるものです。同国の道路は各市町村コミュニティを連結する生活道路としてばかりでなく、物流や人的移動の基本インフラとして極めて重要度の高い存在です。とくに東部の中心都市サンタクルスから西に向かう国道7号線はコチャバンバやスクレなどの主要都市方面へと連結する交通、輸送の中心路線であり、経済活動を支える基幹といえます。この路線が何らかのアクシデントで通行止めとなると迂回路は80㎞も北側の国道4号線を利用することになりますが、両路線間には険しい山岳地形があるため連絡路はないため、その迂回キロ数は100㎞単位となり日単位での輸送遅延や車両の集中による交通の乱れを生じることとなり経済的なダメージは日々増大しているといえます。

 この国道7号線は基幹路線でありながらアンデス山脈の東縁部を通過するので大部分が山間部を通過しており、常に土砂災害のリスクにさらされています。実際に同路線区間では繰り返して大きな道路災害が発生した履歴があり、とくに2006~2007、2008~2008年の雨期に発生した集中豪雨では多くの人名が失われるとともに橋梁の流出や土砂崩れによって数日間にわたる通行止めが生じ物流の遮断によって周辺地域に深刻な社会、経済状況への打撃がありました。

 このようなボリビア国の道路状況を鑑み、わが国では国際協力機構(JICA)により防災技術の向上を目的とした「道路防災および橋梁維持管理キャパシティデベロップメントプロジェクト」に着手し2009年からボリビア国の道路管理者を対象として業務体制の強化、防災・橋梁維持管理能力の能力向上に取り組んでいます。


道路防災工事の実例を示す

 前述のプロジェクトは道路管理者を対象をした技術力の向上を目的としますが、それにプラスして防災工事の実例を示すことによってさらにボリビア国全体での防災レベルの底上げを図る必要があります。なぜならば、ボリビア国の道路管理予算は十分なものではなく、災害リスクの高く極めて危険な箇所を道路管理者が把握していても、繰り返し新しい災害が生じその手当てに予算が使用されるので、いつまでもリスクの高い箇所が放置されている実状があるからです。そのために同国全体の防災技術は依然として発展途上段階であり、防災工事を施工できたとしても地形改変を主体とする土工事を中心とするもので恒久対策とは言い難く、規模の大きい災害には対処できていません。

 そこでわが国は無償資金協力事業「国道7号線道路防災対策計画」を立ち上げ日本でおこなわれている基本的な防災工事を施工し現場で実例を示すこととしました。この防災対策工事は災害が発生した場合とくに大きな経済・社会的影響が見込まれる危険箇所のうちボリビア国の工事技術では施工が困難であると判断される箇所を対象におこなわれるものです。現在同プロジェクトでは防災工事の準備段階として対象工事箇所の選定、工種決定のための調査、予備的な設計作業が業務として順次すすめられています。



【プロジェクト】ホンジュラス国首都圏地滑り防止計画地滑り対策工事

JICA国際協力機構 無償資金協力プロジェクト

災害に脆弱な国土と厳しい経済状況

 中米地域のほぼ中央に位置するホンジュラス国では、1998年のハリケーン・ミッチの停滞による土砂災害や水害によって、2万人を超える死傷者を出す大災害が発生しました。同国は被災後直ちに『国家再建計画(PMRTN)』を策定し、復興と経済構造の改革を図りましたが、復興プロセスは終了したものの、中南米ではもっとも開発の遅れた国家の一つであることから、国際社会からの経済支援が必要となっています。
 同国の首都テグシガルパ市は、盆地に発展した都市であり、周囲を傾斜地に囲まれているため、降雨等による洪水・地すべりの自然災害による被害を受けやすい特性があります。また、同市周辺では地方からの人口流入が顕著になっており、流入者の多くは地形的にも極めて危険な地域に居住せざるを得ません。さらに、自然災害対策のためのインフラ整備が進んでいないことから、首都圏周辺のいくつかの地域では小規模な降雨でも洪水や地すべりが繰り返し発生しています。

 ホンジュラス国政府およびテグシガルパ市は、こうした自然災害に対する首都圏の脆弱性は十分に理解しているものの、その対策のための予算確保もままならず、河川の清掃程度の小規模の対策を講じる程度で、本格的な災害対策には着手できていません。


繰り返される大災害に備えて

 このような背景を通じて、わが国はハリケーン・ミッチによる甚大な被害を被ったホンジュラス国の災害復興支援の一環として2001年~2002年に「首都圏洪水・地すべり対策計画調査」を実施し、ハリケーン後のテグシガルパ市の防災対策にかかるマスタープランを作成しました。また、同開発調査において、優先プロジェクトとして特に洪水や地すべりの危険性の高い地域が特定され、早急に対応策を講じる必要があることが提言されました。

 ホンジュラス国政府は、この提言を受け、もっとも地すべりの危険性の高いとされた3地域について、わが国に無償資金協力を要請しました。ここで紹介するプロジェクトは、一連の調査、設計、工事を含む防災対策事業であり、2008年の準備調査開始から、政変による一時中断があったものの、実施設計業務を経て、現時点では本格工事の施工に至っています。


本格的な地すべり対策工事

 採用された地すべり対策工法は主として地下水排除工を主体とした抑制工に相当するものです。抑制工とは、地すべりの発生要因を取り除くことによって活動を沈静化させるものであり、活動の主要因となる地下水位を低下させたり、不安定な地形を改変して活動域のバランスを安定化させるという工事をおこないます。
 日本においても大規模な地すべり地を中心に抑制工が広く用いられており、今回採用される集水井工は地すべり地内に直径3.5m、深度10~25mの井筒を複数配置しその内部から横方向の水抜きボーリングを打設して積極的に地下水を排除するものです。

 このような工法が中南米の途上国で採用されることは初めてのケースであり、初の本格的な地すべり対策工事といえます。専用の工事材料や工事機械を日本から持ち込んで施工しますが、ホンジュラス国の政府・自治体職員や民間の施工会社や設計コンサルがこの工法の原理を知り施工方法を実際に見ることによって、同国の防災レベルが向上することが期待されます。



【プロジェクト】スーダン国水供給人材育成プロジェクト・フェーズ2

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

プロジェクト期間

 水供給人材育成プロジェクト・フェーズ2は2011年11月より2015年9月迄実施される日本の技術協力プロジェクトです。

 このプロジェクトは2008年6月から2011年3月迄実施されてきたフェーズ1プロジェクトを継続発展させるために実施されています。フェーズ2プロジェクトでは8名の日本人専門家がそれぞれの担当分野を通して、スーダン人への技術指導を行います。


ハルツームでの活動

 本プロジェクトの実施機関は国営水公社(PWC)の下部機関である研修センター(PWCT)です。このセンターはスーダンにおける給水分野の最高研修機関として、位置づけられており、フェーズ1のプロジェクトを通して、日本人専門家は研修体制の強化や研修管理能力の向上を実施してきました。その結果、現在PWCTでは様々な研修を自主的に実施できるようになりましたが、研修センターの施設能力に限界があったことから、現在新規研修センターの建設が予定されています。

 専門家は、この大幅に改善された新規研修センターを国際基準のセンターにする為に、今後も継続的な支援を行ってゆきます。


パイロット州での活動

 フェーズ1のプロジェクトでは首都のハルツームの研修センターの能力向上を主目的に実施されてきましたが、中央での研修体制強化のみではスーダン全土の給水分野の人材育成が達成されにくいことが判明しておりました。そのために、フェーズ2では白ナイル州とセンナール州をパイロット州として選定し、ここに専門家と関連する研修機材を導入し、州レベルのモデルとなる研修を実施しています。両州は隣接していることから、州水公社は常にお互いの進捗を比較できるほか、定期的にセミナーを開催し、パイロット州としての相乗効果を高めつつあります。

なお、パイロット州での本格的な研修は2012年10月から開始される予定です。


人材育成の全国展開

 2012年1月に、西ダルフール州から中央ダルフール州が、また、南ダルフール州から東ダルフール州が分離したことにより、現在スーダンには17の州が存在しています。これら17州の内、ダルフール5州(東、西、南、北、中央)、南コルドファン州及び青ナイル州は紛争地域となっていることから、専門家の現地調査は制限されております。しかしながら、それ以外の州については治安上の問題が発生していないことから、専門家は定期的に各州を訪問し、研修効果、研修ユニットの整備、必要な研修用機材の調達等の支援を行っています。


他関連プロジェクトとの連携

 現在スーダンでは本フェーズ2プロジェクトの他に、「ダルフール及び暫定統治三地域人材育成プロジェクト(対象州はダルフール5州、南コルドファン州及び青ナイル州)」と「カッサラ州行政能力サービス向上のための復興支援プロジェクト」に給水分野が含まれていることから、これらのプロジェクトと常に連携した活動を続けています。

 具体的にはハルツームのPWCTにおける研修、モロッコでの第三国研修です。このような他関連プロジェクトとの連携はスーダンにおける給水分野の人材育成にとり極めて有効であることが確認されています。



【プロジェクト】スーダン国カッサラ州基本行政サービス向上による復興支援プロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

東部スーダン・カッサラ州復興のために

 アフリカで第三位の国土面積(189万m2:日本の約5倍)を擁するスーダン共和国は近年、三つの紛争を抱えていました。そのうちの一つ、南北内戦が2005年に終結し2011年7月10日に南スーダン共和国が独立したのは記憶に新しいところです。

 カッサラ州を含む東部スーダンでも開発の地域格差に対する政府の不満や旱魃による飢餓や貧困が重なった事により、現地部族が武装蜂起し2005年以降政府軍との間で紛争が激化しました。この東部紛争は2006年10月にようやく終息しましたが、カッサラ州の主要な社会経済指標(保健、教育、水、貧困等)はスーダン全体と比較しても劣悪な状況にあります。

 このような背景から、カッサラ州政府は州の最優先課題である給水、農業、母子保健、職業訓練分野において、州政府の行政サービス提供能力の強化を目的とする本技術協力プロジェクトを日本政府に要請しました。JICA(国際協力機構)は緊急性の高い復興支援として採択を決め、弊社はこれを協同企業体として受託し、給水分野の担当機関である州水公社へ『管網管理/施工監理』、『地方給水プログラム』、『物理探査』の各専門家を派遣しています。


給水サービス向上への挑戦

 州水公社は都市部と地方部において、それぞれ課題を抱えています。カッサラ州の中心地カッサラ市では各戸給水を実施していますが、乾季に増加する漏水や大規模断水によりサービスが低下しています。これが原因の一つとなり、顧客からの水道料金徴収率は低く、水公社の経営を圧迫しています。

 まずは安定的に給水できる体制を整え、顧客満足度を上げる対策が必要です。そこでプロジェクトでは活動の一つとしてGISを活用した管網管理台帳を水公社職員と共同で作成し、近い将来避けられない古い配水管の更新計画立案に取り組んでいます。


住民に「平和の果実」を味わってもらうために

 カッサラ州での安全な水へのアクセス率は2006年時点で39%とスーダン全体の56%と比べても、かなり低い状況にあります。カッサラ州の地方部の多く村は井戸ポンプにより汲み上げた地下水を飲料水として利用しています。いろいろな要因がありますが、州内の多くの村で給水施設が故障して放置されたままになっています。

 紛争が終わった今、「平和の果実」である復興の成果をなるべく早く地域住民に体感してもらい、住民と水公社の信頼関係を構築することが重要です。このプロジェクトでは専門家と州水公社がパイロット事業として、地方のある村の給水施設の改修を実施し、住民との話し合いを繰り返しながら、カッサラ州における給水施設維持管理のモデルづくりに取り組んでいます。


新たな水源を求めて

 カッサラ州北部は岩盤地域が広がり有望な地下水源に乏しく、いくつかの村では危機的な水不足に陥っています。新たな地下水資源を精度よく、効率的に確保する為、プロジェクトでは弊社の専門家により、OJTを通じて水公社の技術系職員に物理探査(2次元比抵抗探査)技術の指導を実施しています。

 この技術を他州の水公社にも広げる為、首都ハルツームのPWCT(国営水公社研修センター)で弊社が受託した水供給水人材育成プロジェクトフェーズ2と連携しながら研修も実施しています。

 本プロジェクトは2014年5月まで継続される予定です。



【プロジェクト】タンザニア国地下水開発セクター能力向上プロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

タンザニアの水供給の現状

 タンザニア政府は、「第2次成長と貧困削減のための国家戦略書」(MKUKUTA II :2010年~2014年)、およびMDGsにおける目標達成に向けて、「水セクター開発プログラム」(WSDP: Water Sector Development Programme)を策定し、2025年までに地方部で90%の給水率を達成することを目標としています。

 タンザニアの給水施設の水源は主として地下水であり、井戸掘削により水源を開発しています。この計画においても、建設予定の地方給水施設のうち、91%は地下水を水源とすることを想定しており、年間約1,200本の井戸掘削が必要と想定されています。

 しかしながら、現状では、井戸・ダム開発公社(DDCA:Drilling and Dam Construction Agency)、民間セクターともに掘削能力は低く、年間の井戸掘削数は約600本であると推定され、給水施設建設能力が需要を満たせない状態となっています。従って井戸掘削業界全体の能力向上が大きな課題として掲げられています。


本プロジェクトでの取り組み

 本プロジェクトは、DDCAが機材および掘削技術の2つの面から民間掘削会社を支援する、官・民連携のPPP(Public Private Partnership)の導入となる新しい試みです。

 本プロジェクトでの目標は以下の3点です。
1) DDCAに民間掘削会社への技術指導システムの確立。
2) DDCAの民間掘削会社への井戸掘削に関する技術指導能力の向上。
3) DDCAにおける民間掘削会社への機材貸出及び機材維持管理システムの確立。

 上記の3つの成果を出し、民間井戸掘削会社の井戸掘削能力の向上を行い、水セクター開発プログラムの目標達成を目指します。

 本プロジェクトは、2012年3月から2016年3月までの約4年間にわたり実施されます。弊社からは、『総括/地下水開発計画』、『副総括/井戸掘削』、『研修計画/民間育成』、『検層/井戸データベース』、『井戸・地下水資源管理』の分野において専門家が派遣され、DDCAの各カウンターパートと協同で作業を進めていきます。


井戸掘削セクターの現状を知る

 2012年5月、民間セクターの能力アセスメント及びニーズの把握のため、ベースライン調査を開始しました。調査は、タンザニア水省に登録されている126社の民間掘削会社に対して、質問票を用いたインタビュー形式で行います。調査の内容は、水セクター開発プログラム下の業務への関心、貸出機材の利用経験、保有機材、スタッフの人数及び能力、会社の運営状況等です。調査は、2012年8月末に終了し、調査結果を基に、民間井戸掘削会社への具体的な機材貸出や技術指導システムの確立を行っていきます。
 一方、民間セクターへのベースライン調査と並行して、地下水管理に関する現状調査を実施しました。調査の結果、井戸掘削に関して、設計上または施工上の不備が確認されました。加えて、井戸の管理状況も適切ではありません。そのような状況の井戸では、タンザニアの飲料水質基準を超える濁度や大腸菌等が検出される例もあり、周辺に影響を及ぼしていることが考えられます。また、井戸掘削会社は岩盤地域で掘削可能な掘削機材を十分に持っていないために、仕事が受注できないという問題を抱えています。


安全・安心な水供給のために

 安全で安心できる飲料水の確保は、人々が安定した生活を送る上で必要不可欠です。しかしながら、タンザニアの井戸掘削に関する各技術(掘削方法、掘削工程管理、掘削機材の維持管理、井戸デザイン、井戸管理など)は未だ適切ではありません。また、計画性がないまま井戸が掘削されるという、地下水の乱開発が行われています。この現状は、近い将来、地下水汚染や枯渇、地盤沈下などの災害だけでなく、掘削現場での人的事故や掘削作業の非効率化を誘発する恐れがあります。
 そのような弊害を防ぎ、効率的な井戸掘削を行う為には、適切な井戸掘削や井戸デザインに加え、掘削機材の維持管理や工程管理方法の向上が必要です。
 本プロジェクトでは、実地訓練を交えながら適切な井戸掘削に関するDDCAの指導者を育成していきます。DDCAが民間掘削会社に対し、リソース及び技術能力の両面から支援の提供を行うことで、井戸掘削産業全体の能力を向上させ、より多くの人々が安全で安心できる地下水へのアクセスが可能となることを目指します。



【プロジェクト】タンザニア国村落給水事業実施・運営維持管理能力強化プロジェクト・フェーズ2

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

タンザニア国の村落給水・衛生事情

 アフリカの東海岸に位置するタンザニア国には4,000万人を超える人々が暮らしており、そのうちの8割以上が村落部で生活しています。人口は毎年増加傾向にあるにも関わらず、安全な水の供給率(2010年)は国全体で54%、村落部で44%という状況にあり、改善された衛生施設へのアクセス率(2010年)に関しては、国全体で10%、村落部で7%という極めて深刻な状態にあります(Progress on Drinking Water and Sanitation: 2012 Update, UNICEF and WHO 2012)。

 そのような状況において、タンザニア政府は第2次国家水政策(2002年)にもとづいた、セクターワイドアプローチによる水セクター開発プログラムを2007年より開始し、その中の地方給水・衛生プログラムによって、村落部の給水・衛生施設の建設などを実施中です。しかし、プログラムの進捗は大幅に遅れており、施設建設数の減少や完了時期の延長など、計画の大幅な見直しが必要になりました。その大きな理由として、1998年から始まった地方分権化の急激な流れに地方自治体の能力開発が追い付かず、県の技術担当者などが地方給水・衛生プログラムを適切に管理できていないことが指摘されています。政府が作成したタンザニア開発部ビジョンでは2025年のゴールまでに、村落部における90%の安全な水供給と75%の衛生施設整備を目標に掲げていますが、その目標達成が危ぶまれている状態です。


タンザニア国の自立を目標にした国際協力

 こうした背景のもと、タンザニア政府は日本に対して能力開発のための技術協力を要請し、日本はそれを受けて「村落給水事業実施・運営維持管理能力強化計画」プロジェクト(RUWASA-CADフェーズ1)を、弊社の受託により2008年から2010年にかけての3年間で実施しました。フェーズ1ではタンザニア東部の3州をパイロット地域として能力開発事業を実施しましたが、その成果を全国に展開するために、タンザニア国から日本に対して再度の要請があり、「村落給水事業実施・運営維持管理能力強化プロジェクト(RUWASA-CAD)フェーズ2」が弊社の受託により2011年8月から2014年7月までの3年間の予定で実施されています。なお、プロジェクト英文名称の「Rural Water Supply and Sanitation Capacity Development」の頭文字などをとって、「RUWASA-CAD」という呼称が現地では定着しています。

 タンザニアの水セクター開発プログラムは、主にバスケット・ファンドによる資金をもとに実施されていますが、RUWASA-CADプロジェクトではタンザニアの能力開発支援を行うことで、給水・衛生施設建設などのプロジェクト運営の円滑を支援することを基本理念としています。プロジェクトの関係者はカウンターパートとなる相手国政府職員だけでなく、地方自治体やコミュニティ関係者、他国の開発パートナー、NGOなどとも協調しながら、現地活動を実施しています。

 フェーズ1では、地方給水・衛生プログラムの流れに対応させた「研修パッケージ」が開発・実践され、その成果が全国で利用してもらえるような取り組みを、フェーズ2で行っています。タンザニア国の政府や地方自治体が、自発的に能力開発事業を実施できるようになることが、プロジェクトの最終的な目標です。


地域特性を考慮したコミュニティ支援体制強化をめざして

 タンザニアの地質環境は、40億年以上も前に形成された古い岩石や、ごく最近堆積した新しい地層など、多種多様な条件を備えています。タンザニアの主な飲料水水源は地下水であるため、地下水資源開発の基礎となる地質環境は、給水・衛生プログラムを計画する際に極めて重要な情報になります。また、地域ごとの社会経済条件(集落構成、人口密度など)も、考慮すべき重要な要素です。RUWASA-CAD「研修パッケージ」には、これらの地域の自然・社会条件を反映した内容を盛り込み、必要な更新作業を行っています。

 さらに、プロジェクトでは、室内での研修だけでなく、現地での実地研修も行うことで、コミュニティでの水利用者との直接の交流に重視した活動も行っています。コミュニティによっては、1時間以上も水汲みのために歩かなくてはならなかったり、乾季に井戸水が枯れてしまったりする場所もあります。地方自治体が現地の実態を正確に認識し、適切な水資源評価を行うことと、施設建設後の住民による運営維持管理を支援していくことが必要です。一日でも早く住民が安全な水を得られることを願って、多くの関係者との交流を大切にしながら、プロジェクト活動を行っていきたいと思います。



【プロジェクト】ボリビア国道路防災および橋梁維持管理CDプロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

ボリビア国の道路防災・橋梁維持管理能力向上を目指して

 ボリビア国の主要な国道は、3000m~4000m級のアンデス山脈を通過しており、毎年雨期には道路斜面災害や橋梁の損傷被害が繰り返し発生しています。この技術協力プロジェクトは、これらの自然災害に事前に対応できる『予防防災能力』の強化を中心に、国道を管轄するボリビア国道路管理局の能力向上を図ることを目的に実施しています。

 弊社はこれを受託して、『総括/組織強化』、『地質(地すべり)』、『地質(砂防/流域管理)』、『道路設計』、『道路防災データベース/情報通信』の専門家を派遣しています。


ボリビアの道路災害の特徴

 山岳国家であるボリビアは、気象や地形などの自然条件が厳しく、11月から3月までの雨期には、アンデス山岳地帯の道路斜面で大規模な土砂崩れ、落石、地すべり、土石流などが発生します。ボリビアでの道路災害の特徴は、災害の規模が大きいこと、繰り返し起こることです。規模が大きいことは、断層や破砕帯が数多く存在することに起因します。繰り返し発生することは、復旧対策が不十分であることに起因しています。

 河川の増水や洪水による道路構造物の被害も大きな問題です。急峻な山岳道路にかけられた橋梁は、落石や地すべりによって損傷をうけやすく、河川を横断する橋梁では土石流や河床の洗掘による基礎部の流出や倒壊事故が多くなっています。アマゾン川上流の熱帯雨林低地帯では、毎年のように大規模な洪水が発生しており、道路面の浸食による流出や、盛土の浸食などが頻発し、社会問題となっています。


防災ユニットの設立

 このプロジェクトでは、『災害が起こる前に未然に防ぐ』という<予防防災>という考え方を、ボリビアにとって社会的にも経済的にも重要であることを関係者に十分に理解してもらい、これが国民の間で一般的な概念として定着することが最大の課題と考えられています。そのため、第一に『専門部署の設置とスタッフの配置』を優先事項として、ボリビア道路管理局(ABC)本部に防災対策室(UPD)設立し『道路』『橋梁』『地質』『水文』の4名のスタッフを配置され、カウンターパートとして活躍しています。
 また、UPDのビジョン、ミッションを明確にするとともに、ABC内でこの組織が円滑に活動できるようにUPD活動方針の総裁認定を行っています。


室内研修,現場におけるOJTで実施する技術移転

 技術移転は様々な方法、視点から実施されています。室内研修では、道路防災部門では、災害のタイプの分類、地質調査、データ解析、砂防、地すべり、道路設計などを、橋梁部門では、橋梁点検、橋梁維持管理システム、橋梁設計など、様々な項目について講義や教材を用いた実践トレーニングを行っています。

 実際にABCが実施する道路防災工事と橋梁補修工事に対して、専門家チームから適切な工法の提案や指導を行い、カウンターパートに技術移転を行いながら協議します。そして、実際の工事現場において、OJT(On the Job Training)を実施しています。


10種のマニュアル・ガイド

 プロジェクトの技術移転活動を通じて、各部門でマニュアル・ガイド類を作成しています。①斜面災害調査・観測ガイド、②道路斜面点検ガイド、③道路災害記録ガイド、④道路防災対策工事設計、⑤雨量観測ガイド、⑥道路防災データベース運用ガイド、⑦道路防災管理マニュアル、⑧橋梁点検ガイド、⑨橋梁補修・補強ガイド、⑩橋梁日常点検ガイドを、専門家とUPDが協議を重ね、よりボリビアに適合したものに仕上げられています。


防災情報の収集、管理と発信

 予防防災にとって重要な項目には、情報の収集、管理、発信能力があります。このプロジェクトでは雨量観測ネットワークの構築とその維持管理、データの加工を訓練し、道路災害記録や道路斜面点検記録、通常情報にリンクした雨量水文情報を管理するデータベースモジュールの開発を支援しています。

 デジタル自記雨量計は、全国に19か所設置して観測データをUPDに集積することを目指している。この雨量データは時間雨量を記録することができるため、より正確で幅広く解析に利用することができます。そして、取りまとめられたデータは、一括してデータベースで管理されます。道路災害記録と通行止め情報を合わせて雨量情報もユーザーが自由に閲覧することができるため、今後の道路防災・橋梁維持管理能力向上の重要なツールとなることが期待されています。


道路防災リーダーへの期待

 アンデス山脈を有する南米諸国はボリビアを含めて7か国に及んでいます。これらの国々ではアンデス山脈を越える東西回廊の通行性の確保が経済発展の要となっています。このプロジェクト実施中にABCは約200万ドルの道路防災工事予算を確保し工事を開始しています。着実にオーナーシップは芽生えています。道路防災におけるアンデス諸国のリーダー的存在になることを大いに期待しています。

 なお、本プロジェクトは2012年10月まで継続される予定です。



【プロジェクト】カリブ災害管理向上プロジェクト・フェーズ2

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

広域防災のため体制づくりと支援

 中米カリブ海東縁に連なるカリブ諸島の国々では、大型ハリケーンや洪水災害が頻発していますが、経済規模の小さい島国が多いため、それぞれの国が災害に対処するのが難しい状況にあります。そうしたなかで、カリブ地域全体の総合災害管理の調整機関として、国際機関Caribbean Disaster Emergency Management Agency(CDEMA)が設立されました。

 本プロジェクトでは、CDEMAのほか、同じく国際機関であるカリブ気象水文研究所や、ガイアナ大学、西インド諸島大学といった研究機関と協力し、計5ヶ国の洪水リスクの高いコミュニティを試験サイトとして、カリブ地域全体の災害対応能力向上のための技術協力を行いました。弊社からは、2009年3月~2012年6月にかけて、『水文データベース/GIS』、及び『コミュニティ防災』の各分野の専門家が参加しています。


地域研修機関を核とした成果展開への道筋づくり

 カリブ地域各国のハザードマップを整備していくにあたって、その中核となるのがカリブ気象水文研究所(Caribbean Institute of Meteorology & Hydrology: CIMH)です。CIMHは気象・水文にかかる研究機関であると同時に、各国の水関連省庁職員のトレーニング機関でもあります。

 プロジェクトでは、ハザードマップ作成の基本データとなる降雨や河川水位のデータをCIMHに集積し、Webデータベースを構築するための支援を行いました。 また、構築したデータベースが継続的に運用されていくよう、その具体的な活用方法として、降雨解析や流出計算、無料の解析プログラムとGISを用いた浸水想定区域の作成など、ハザードマップ整備に向けた技術研修を継続して実施しました。

 カリブ地域の研修機関であるCIMH職員が洪水ハザードマップ作成技術を習得することにより、プロジェクト成果が、効率的かつ効果的に広範囲に展開してくことが期待できます。


バリエーションを考慮したコミュニティ防災の推進

 一口にカリブ地域といっても、その洪水タイプや地域の社会経済状況は様々です。ガイアナやベリーズなどの大陸国では長期的な浸水が問題となる一方で、小さな島国では突発的な洪水(フラッシュフラッド)が主な災害です。また、昔ながらの農業や漁業を営む集落もあれば、地域力の脆弱な近代化したベッドタウンもあります。

 プロジェクトでは、こうした様々なタイプのコミュニティを対象とすることによって、実際に各行政機関がコミュ二ティの防災活動を推進していくにあたって直面するであろう様々な障害や、実践的なアプローチを身に付けることが出来るよう考慮しています。なかでも特に困難が予想されたセントルシア国の住宅地での活動では、昼間人口が非常に少なく集会を催すことが難しいなかで、住民たちは職場から帰ってから夜遅くまで、地域を災害から守るための真剣な議論を行いました。

 こうした各国での活動の結果を反映して、プロジェクトでは、コミュニティ防災活動推進のための技術資料として、『コミュニティ防災計画策定マニュアル』を整備し、CDEMAはじめ各国の防災関連行政機関の災害対応能力向上に貢献しています。



【プロジェクト】タイ国防災能力向上プロジェクト・フェーズ2

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト

タイ国の自然災害軽減に向けて

 2011年の9月~10月にかけて、東南アジアのタイ国は、幾度の台風上陸を受けました。山間部のダムはいずれも貯水容量の限界に達し、放水量調整による治水が行えない状況に陥りました。この間の一連の洪水・土砂災害により、500名近い人命が失われるとともに、日本企業を含む工業団地浸水などによる経済損失は、1兆円近いとされています。
 タイ国は、2002年に、防災全般について責任をもつ、『災害軽減局』を内務省に設立しています。これに対し、JICAは同局の強化を目的として、『防災能力向上プロジェクト・フェーズ1(2006~2008年)』を開始し、弊社はこれを受託して実施しました。
 さらに、フェーズ1の成果促進と普及体制構築のための支援が要請されたため、2010年より『同・フェーズ2』が開始されています。弊社からは、『コミュニティ防災』、『防災教育』、『土砂災害対策』の各専門家が派遣されています。


コミュニティ防災活動普及展開のための訓練

 日本の防災政策の基本理念は、自助・共助・公助の思想です。これらが連携し一体となることで被害を最小化し、災害後の早期復旧につながります。このうち、コミュニティにおける自助・共助の力を向上させ、公助との連携をはかる取り組みがコミュニティ防災活動の推進です。

 タイ国には洪水や土砂災害のリスクのあるコミュニティが国内に約26,000箇所あるとされています。現在、災害軽減局の数少ないファシリテータが、コミュニティ防災活動を支援していますが、膨大な数のリスク・コミュニティの全てを網羅するためには、圧倒的にマンパワーが不足しています。そこでプロジェクトでは、ファシリテータ育成カリキュラムを組み、実地訓練を交えながらこれを育成しています。最終的には300名のファシリテータ育成を目標として頑張っています。


防災行政と防災教育の融合へ

 国や地域の防災能力の向上のためには、教育プログラムに『防災』の概念を取り入れていくことが非常に重要です。これにより、教師から生徒へ、生徒から家族へと、防災啓発が展開していくことも期待されます。

 2006年から開始されたフェーズ1以降、プロジェクトでは内務省災害軽減局と教育省との協力体制構築を図ってきました。もともと全く接点のなかった両省ですが、プロジェクトをきっかけに幾多の障害を乗り越えて、徐々に協力体制が確立されています。地方レベルでも、学校防災セミナーに災害軽減局職員が講師として招待されるなど、密接なコラボレーションが確立されつつあります。フェーズ2では、災害軽減局と教育省の連携をより強化にするための支援を行うとともに、防災教育ガイドライン策定支援や、防災教育モデルスクールの設立など、防災教育の普及展開活動を進めています。


コミュニティのリスク分析・警報システム改善

 タイ国では、各村にミスター・ワーニング(警報)と呼ばれる災害警報発令担当のボランティアが居ます。ミスター・ワーニングは、累積雨量や川の水位を観察し、危険が迫ったときには村長と協力して避難警報を発令します。ところが、ほとんどのリスク・コミュニティでは、危険個所を示すリスクマップが整備されていないうえに、避難警報のための雨量基準や水位基準も、なんら科学的根拠なく定められています。その結果、警報の『空振り』が多く、住民の自主的な避難活動を阻害しています。

 プロジェクトでは、コミュニティ・レベルにおける洪水リスク分析のための技術指導を行うと同時に、試験サイトに、安価な自記式雨量計や水位計を設置し、実際の洪水を引き起こす雨量や危険水位のモニタリングを行っています。コミュニティの既存の能力を最大限活用しながら、警報システムの精度向上に向けて取り組んでいます。

 なお、本プロジェクトは2014年3月まで継続される予定です。