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モロッコ水物語

自然シリーズ-モロッコの山脈

アトラスの三大山脈が北東から南西にかけて広がっている。しかも、山脈はアンチアトラスの北緯28度からリフ山脈の北緯36度の間に分布しており、これは日本の奄美大島から関東平野に相当する緯度である。このような比較的低緯度に分布しているモロッコの山脈には毎年積雪があり、マラケシュとフェズの近郊にはスキー場まで建設されている。アフリカ大陸で唯一のスキー場が存在する背景としては、モロッコが冬場に降雪の集中する地中海性気候であること及び雪をもたらすだけの高い山脈が分布していることによる。

具体的なモロッコの山脈の状況を示すために「Geo Center」社発行の1/80万の地形図より、2,000m以上の山をそれぞれの山脈別に抽出したものが図‐4である。この図からも明らかなように、リフ山脈とアンチアトラス山脈には3,000mを越す山は見られないが、中アトラスには4個、高Atlasには36個も分布している。また、高アトラスには4,000m以上の山が4個もあり、その最高点はアフリカ第6位の高峰となっているToubkal山(4,167m)である。


図-4.モロッコの山脈別2,000m以上の山の個数分布状況

マラケシュ郊外での長老からの聞き取り調査によれば、30年ほど前までは1年中アトラス山脈には積雪が見られたそうであるが、現在は夏場に消滅している。しかしながら、仮に長老が指摘するように、高アトラス山脈で消雪期間が長期化する傾向にあったとしても、モロッコの四大山脈には毎年確実に降水や降雪があり、この自然の恵みこそがモロッコを一大農業国にしているのである。

写真-5.高Atlasの残雪と植生の少ないAnti Atlas

一方、緑豊かな日本やアジアの山脈に比べて、モロッコの山には森林が少ないのも事実である。最も森林が発達しているのは降水量の多い、北部のリフ山脈と中アトラスの一部の地域である。また、大西洋岸の高アトラスからアンチアトラスにかけてはモロッコ特有のアルガンの自然林が見られるものも、植生密度は可なり低く、折角の降水も森林に貯留されること無く短期間で大西洋に流出あるいは蒸発している。

モロッコでは森林面積を拡大するためにユーカリ等の乾燥に強く成長の早い樹木を中心に大規模な植林を実施している。一方で、開発から取り残された村落住民は未だに薪炭などの燃料を自然林に依存した生活であり、これ以上の森林破壊を防止するためには、地方部への電化と同様ブタンガス等の燃料の販売網が早急に整備されることが重要である。


写真-6.アルガンの木
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